近年、価値が低い空き家や空き地、山林などを有料で引き取る「不動産引き取りサービス」が増えています。
国の調査によると、全国で約60社が事業を手掛けており、需要は年々拡大しています。
目次
利用が広がる背景
相続や高齢化に伴い、管理が難しくなった土地や建物を手放したいと考える人が増えています。
保有を続ければ固定資産税などの負担がかかる一方、買い手を見つけるのは容易ではありません。
そのため、「手数料を支払ってでも早く処分したい」というニーズが強まっているのです。
サービスの仕組み
通常の不動産取引では、所有者が買い手から代金を受け取ります。
一方、このサービスでは所有者が業者に「引き取り料」を支払い、所有権を移転します。
その後、業者が土地を整備したり売却先を探したりし、売却益が収益となります。
利用の際の課題と懸念
こうしたサービスを利用するにあたり、次のような注意点が挙げられます。
- 引き取った不動産を業者が長期間、適切に管理できるか
- サービスを使わず市場価格で売却できる可能性はないか
- 所有権移転の手続きが適正に行われるか
- 業者が宅地建物取引業の免許を持っているか
実際、免許を持たない業者も多く、知識不足や管理不全によるトラブルが懸念されています。
中には高額な手数料を請求されるケースもあり、事前の確認が欠かせません。
国の制度との比較
2023年からは、条件を満たせば相続した土地を国に引き渡せる「相続土地国庫帰属制度」も始まりました。
ただし却下されるケースも少なくないため、利用には一定の制限があります。
まとめ
「不動産引き取りサービス」は、処分が難しい不動産を抱える人にとって有効な選択肢の一つです。
しかし、利用する際には信頼できる業者かどうか、また本当にサービスを使う必要があるのかを慎重に見極めることが大切です。
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