〜“赤の他人の家”を片づけることになった話〜
目次
夫の実家から始まった空き家問題
「なんで私が後始末をしないといけないんでしょう。だって赤の他人ですよ」
そんな言葉から始まった、ある女性の空き家処分のお話。
彼女が暮らすのは都市近郊のまち。
ある日、遠く離れた離島にある夫の実家をどうするか、という大きな課題に直面しました。
すでに夫は亡くなり、自分には縁もゆかりもない土地。
しかし放置すれば娘たちに迷惑をかけるかもしれない——。
そう思い、覚悟を決めたのです。
登記されていなかった家
まず分かったのは驚きの事実。
実家の建物は1950年代に建てられたにもかかわらず、登記されていなかったのです。
古い役場の資料を探し、司法書士とともにようやく所有者を特定し、初めて登記を済ませました。
広がる相続人の輪
次に待っていたのは、複雑な相続。
当時の所有者は大家族だったため、相続人は全国に散らばる十数名に及びました。
土地と建物で相続関係が違うこともあり、全員の同意を得るのは時間も労力もかかる大変な作業でした。
100年前の抵当権との遭遇
さらに意外な問題が…。
土地の一部に、なんと100年以上前の抵当権が残っていたのです。
当時の借金は250円。
貸主はすでに故人で返済先も不明でしたが、法務局に供託金を預けることでようやく抹消が認められました。
処分にかかった費用と安堵
家屋の解体や草木の伐採、専門家への依頼など、処分にかかった費用は数百万円。
それでも「これで娘たちに心配をかけずに済む」と、女性はほっと胸をなで下ろしたといいます。
空き家問題から学べること
今回のケースは特別なことではありません。
空き家を長く放置してしまうと、登記の不備・複雑な相続・古い権利関係など、思わぬ問題が次々に表面化します。
「自分にはもう関係ない」と思っても、次の世代に大きな負担を残してしまうのです。
空き家や相続については、早めの対策と専門家への相談が何より大切です。
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